子供が保育園で借りてきた絵本です。
【おにたのぼうし】
水彩画で書かれた、表紙が目を惹きます。
黒い男の子がぼうしをかぶっています。
読む前に、絵本の表紙とタイトルから内容を想像します。
ぼうしをかぶった男の子はきっと鬼の子だな。
ツノを隠すために帽子をかぶっているんだろうな。
帽子でツノを隠して、子供たちと遊ぶのかな?
さてさて、どんなお話なのでしょうか。
あらすじ 節分の夜の日の出来事です。
「おにた」は恥ずかしがり屋で気のいい鬼です。
まことくんの失くしたビー玉を拾ってきてあげたり、にわか雨のときは洗濯物を茶の間に投げ込んだり、時にはお父さんの靴をピカピカに磨きました。
でも、おにたは人間にバレないように、用心して生活していたため誰も気付きません。
「ふくはーうち。おにはーそと。」まことくんは豆まきをはじめます。
おにたは、ツノ隠しの帽子をかぶって出ていきます。
次のお家は女の子のお家に決めました。
そこには、病気で寝ているお母さんの姿がありました。
女の子はお母さんの看病を一人でしているようです。
「おなかがすいたでしょう?」と尋ねる母親に「いいえ。さっき食べたの。お母さんが眠っているとき。」と女の子はこたえます。
おにたは何か察したようで、台所へ向かいます。
案の定、台所はすっからかんで米粒一つありませんでした。
おにたは夢中で寒い外へ飛び出し、温かいご飯と煮豆を持って帰ります。
とんとん。
女の子がドアを開けると、帽子をかぶった男の子が立っています。
男の子の正体はもうおわかりですよね?
女の子を喜ばすために、恥ずかしがり屋のおにたが姿をあらわします。
心温まるお話だと読み進めると、衝撃的な結末に思考が止まります。
感想
読み終わった後は沈んだ気持ちになりました。
誰も悪くないのに…。みんないい子なのに…。
おにたが不憫でなりません。
うちにおいでー!とおにたに声を掛けてあげくなった方も多いのではないでしょうか。
そして、おにたの心の声が胸にしみます
「おにだって、いろいろあるのに。おにだって…。」
そうだよね。心が痛みます。
目には見えない神様を信じて、助けてくれた鬼を追い出す豆まきの残酷さ。
優しい絵と、内容とのギャップに気持ちが追いつきません。
神様とはなんなのか。おにたこそが神様のような子なのに。
鬼の姿に生まれたことで、運命が決まっているようで悲しくなりました。
これまでに、優しい鬼の絵本を何冊か読んだことがあります。
多くがハッピーエンドで終わることが多いので、この絵本の結末は衝撃的でした。
子供も「おにたはいい鬼さんなのにね。」とポツリ。
節分の度に、おにたを思い出すことになりそうです。
くろいまめの解釈
残った麦わら帽子とくろいまめ。
女の子の「まだあったかい…。」がおにたの余韻を感じさせます。
私はおにたが黒いまめになったと解釈しましたが、他の解釈も気になって調べてみました。
- おにたは死んだ
- どこかに消えた
- 黒いまめになった
上記のような解釈が多いように感じました。
こんな方におすすめ
悲しい結末の絵本ですが、考えさせられます。
このような方におすすめします。
- 視野を広げたい
- 悲しい気持ちに浸りたい
悲しい気持ちにどっぷり浸る事になるでしょう。
しかし、ただ悲しいお話で終わらずに、おにたから何かを学びましょう。
そこで、なぜこのような悲劇が起きたかを考えました。
それは鬼=悪という刷り込まれた記憶です。
女の子が悪いわけではなく、そう教えられてきたからなんです。
この絵本を読んだことで、鬼の優しさやおにたの気持ちを知ることができました。
鬼≠悪ではないという考えを持てたことは、様々なことにも対応するのではないでしょうか。
結果、視野を広く持てることにも繋がっていくと思います。
節分におすすめ?
このお話を聞いた子供は、豆まきをするのでしょうか?
私はおにたが不憫で、豆まきをしたくありません(笑)
ですので、豆まきを楽しくしたい方にはおすすめしません。
もしするなら、「福は内。鬼も内。」ですね。
まとめ
節分を意識して読むにはおすすめしない本でした。
おにたに感情移入してしまい「鬼は外」なんて言えなくなってしまいます。
でも、物事に対して深く考える機会を与えてくれる絵本だと思いました。
私の子供たちは「鬼は優しい」と言います。
保育園で鬼がプレゼントをくれるからだそうです(笑)
こういうものだ!という先入観を捨ててみるのもよさそうです!
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